気のせいか…?―\r
ロイは首を傾げてドアを閉めようとしたが、再び、
来て下さい…
という声を聞いて、怪訝な表情で外に出た。
どっちから呼んでるんだ?―\r
ロイは注意深く左右を見回して、廊下の奥にある暗闇を、目をこらして見つめた。
来て下さい…
こっちか…―\r
ロイは声の聞こえてきた方角に身体を向けると、そちらの方に向けて歩き始めた。
少し歩いた所で、ロイは前方からやって来る見回りの兵士が見えた。
まずいなあ…―\r
ロイは苦い顔をしながら、咎められた時の言い訳を必死に頭の中で巡らした。
「君、こんな時間に何をやっているのかね?」
兵士はロイを見つけると、怪訝そうな表情で、声を掛けた。
これしか無いな―\r
ロイは一つ小さく息を吐いて、
「あの…ちょっと、トイレに…」
と、照れくさそうに、言った。
「ああ…君は確か、保護対象になった子だったね。暗いから足下に気をつけるんだよ」
兵士はロイの顔を知っていたのか、一つ小さく頷いて注意を促すと、その場から立ち去っていった。
そういえば、あの人、僕たちの武器を没収した人だ…―\r
ロイは兵士の顔を思い出しながら、ほっとした顔を浮かべると、再び声のする方へと歩き始めた。