さすらう街の
今日もどこかで
誰かが呼吸を繰り返す
小さな区画の中に
一体いくつの夢が
詰まっているのだろう
人の出入りが激しい
この街では
星を数えるよりも難しい
欲望を美化して
「夢」と呼ぶ
欲望は人を滅ぼすが
生きる糧ともなる
欲をなくした人間は
ただ安らかに死を待てる
しかしそれは
散々欲に振り回されて
苦界を生きてきた後に
得ることのできるもの
幸せは必ず
不幸の後に来る
だから今は
まだ死なないで…
この世の闇を
見た者だけが
ささやかな現実に
心震わされる
本当の幸せに辿り着く