父と母

しゅう  2008-07-24投稿
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父と母を

初めて旅行に連れ出した

スーツケースを引っ張り
先頭を歩く

いつまでも若いと思っていた父の

隠しきれない帽子からはみ出した

いくつもの白髪を見つけ

ああ、

ごめんなさい

ごめんなさい


と思った


大自然を歩き疲れて


部屋に戻り


さぁ明日はどこ行こうか

と二人で仲良く考え


七時にはいびきをかいて寝てしまった親の


部屋の前に並ぶ二つのスリッパを見て


こうして


どうしたって先にいなくなってしまうんだ

と思って寂しくなった


今読み終えた蟹工船の感動を伝えようと思ったのに


もう眠ってしまっていたんだ


もう僕は


父や母のような相手を


見つけていかなくてはならないのだと


仲良く並ぶスリッパが


僕のあしもとで


うったえていた

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