『ねぇ、未來?!』
『なに?!』
『さっきは何を言おうとしたの?!』
彼女は、また僕の目をじっと見つめた。
テーブルを挟んで向かい合っている僕の目には、彼女の瞳だけが映っている。
あれだけ、意を決して、言おうとしていた言葉が、また僕の胸の中に逃げ込んでしまった。
『ううん。何を言おうとしたか忘れちゃった。忘れる位だから、別に大した事じゃないんだ。』
言えなかった――
やっぱり僕は、意気地無し――
でも、何故か変な気分。
彼女がパートナーと別れたと聞かされても――
何故か僕の心は晴れなかった――
チャンスが回って来たと素直に喜べないのも――
やっぱり僕は意気地無し――
『未來を好きになればよかった。』
そう言って笑った彼女を見て僕は、
複雑な思いを抱いたまま――
彼女との楽しい時間を過ごしていた――