「あいつは彼女と過ごすみたい。」
私の地獄耳が拾った。
わかっていたんだよ。
あなたに彼女ができたことぐらい。
一緒にいたんだもん。
離れたって、微妙な変化ぐらい受け取れる。
私ではあなたを幸せにはできなかったから、次の人に幸せにしてもらってって、思ってたんだよ。
だけどね、
なんだろう…
その言葉を聞いた時、
思い出が脳裏を過ぎった。
あなたの大きな手を思い出した。
新しい彼女さんと繋がれる手。
あったかいあなたの手。
その手であなたはいつも私のほっぺを触る。
別れた今でも、彼女ができた今でも、同じように触ってる。
もう触らないでほしい。
かかわらないでほしい。
ほんとはね、
期待してたんだ。
まだ好きでいてくれてることを。
ほんとはね、
信じてたんだ。
時がたてば、またあなたと永遠のトキを過ごせるって。
ほんとはね、
悔しいんだ。
あなたの運命の相手が
私じゃなかったってことが。
ほんとはね、
毎日あなたを想ってた。
永遠片思い覚悟だった。
平気なんかじゃなかった。
抜けられない。
暗闇に立ち塞がったままで…
大好きだったよ。
今までも、これからも。
どうしてかな?
全部平気になったはずなのに、ほんの少しのことで、こんなにも前向きにならなくなる。