或る日…、
ルークは学校の校長室に呼ばれた。
校長室には校長先生や担任の先生の他に、立派な身なりをした上品な老紳士がいた。
老紳士は丁寧な挨拶を済ませると、話しをした。
「君がルーク・ハリー君だね?」
「そうですが…、貴方は?」
校長先生が説明する。
「こちらはバーソロン財団の会長アースル・バーソロン様で、この学校にも多大な寄付や援助をされている御方よ」
「それはどうも、失礼しました」
大変なゲストの前にルークは思わず、緊張してしまう。
「今日は、あなたに会う為に見えられたのよ」
「僕に何か?」
「君はこの前、ライン通りのA骨董屋で人形を買っただろう?
エリザベスと言う名前の等身大の人形だ」
「買いました。でもどうしてそれを?」
「実は私は、その人形をずっと探していたんだ」
「探していた?」
アースルは1枚の用紙を見せた。
人形エリザベスの所有者である事の公的証明書である。
「あの人形は今から亡くなった我が娘の形見として大事にしていた。
ところが5年前に家屋敷が火災に遭った際に何者かに盗まれてしまった。
私はあらゆる手を尽くして探したが見つからなかった。
しかし最近になって、人形は色んな経緯を得てA骨董屋に売られていた事が分かった。
勿論、君が人形を買った事もね」
「そうですか。人形を…返して欲しいって事ですね…?」
戸惑うルーク。
担任のニック先生が話しかける。
「迷う事ないだろう? その人形を持ち主に返せばイイだけの話しだ」
「君が支払った代金は、私の方から返す。
是非、人形を返して欲しい」
「すみません。実はあの人形、盗まれてしまったんです」
「何だって!?」
つづく