「2年、高橋美雪。」
「…っはい。」
体育館がざわついた。
『高橋さんだよ。』
『3年生を差し置いて。』『よくできるね。』
『どんだけ内申書良くしたいんだよ。』
今日は生徒会の会計係の投票日。
『絶対自分に票いれたよねー』
『最ッッ低』
そんな声が聞こえてくる。あたしが自分にいれたんじゃない。そもそもあたし一人が自分に票いれたところで、当選するわけないじゃない…。
教室に入る。
「美雪!二年生なのにすごいね!」
「生徒会の会計係なんて、本当すごいよ!」
仲良しの里奈と真由佳が声をかけてきた。
「ありがとう!頑張るね」本当はこんなのやだ。
会計係なんてしたくない。
あたし、桜中学校2年の、高橋美雪。
みんなにすごいっていつも言われてる。
全然すごくなんかないのに……。
「あーあ。見てよあれ。ありがとう、頑張るね、だって。」
「高橋様はすごいよねーマジで。」
「本当。さっすが高橋様だよね。」
なに?なんなの?
あたしの悪口を言ってるのは、初めて同じクラスになった佐原さんたちのグループだった。
「ちょっと、佐原さん!」里奈…真由佳…?
「なに?あんたたちだって高橋さんのことすごいと思うでしょう?…クスッ……いい子ぶって――……っ」「おい!やめろよ佐原!」
加藤君…?
「な…加藤君っ…わかったわよ……」
加藤君がかばってくれた?なんであたしを?
「加藤君、ありがとう!」「どーいたしまして!」
加藤君はあたしに満面の笑みを向けてくれた。
なんだか、すごく嬉しかった…
嫌な事もあったけど、嬉しい事もあった4月だった
つづく