だれもいない学校のトイレで笑ってる自分を
鏡ごしでみた。
その瞬間涙がこぼれた。
笑ってる自分が憎かった。
心隠して笑ってるのが手にとるようにわかる。
どんどん鼻が真っ赤になっていく。
さっき触られたほっぺを触ってみた。
そうやって、カレの手の温もりを自分で消した。
さっき彼が握った私のシャーペンや消しゴム、タオルも全部いらないって思った。
あの場から早く抜け出したかったのに、うそつきの自分が、笑顔で彼に構ってた。
涙で自分の姿が見えなくなる。
彼のこと、忘れたはずなのに、諦めたはずなのに、近くにきたり話しかけられたり、前みたいに構ったりされたら、すごく苛立つ自分がいる。
彼はただ、友達を続けてくれているだけなのに…。
友達なのが1番つらい。
関わることがつらい。
こんなにもそばで、彼の幸せを見せつけられるのがつらい。
それなのに笑顔でいることがすごくつらい。
走馬灯のように脳裏をよぎる。
私たちが始まった場面。
「元カノのことふっ切れてから告白しようと思ってた。」
「昨日元カノと会ったけど、もう大丈夫だった。りえちゃんのおかげ。ありがとう☆好きだよ。」
同じフレーズを、新しいコにも言ったのかな?
友達の声が聞こえた。
その瞬間、鏡ごしの自分が笑った。
涙が瞬時に消えた。
また、うそつきの自分で、私の近くにくる彼と接していた。
「どうかした?元気ないよ?」
「元気だよ?」
どうやら、卒業までうそつきの自分が続きそうだ。