君の香り 1-上

一弥  2008-07-27投稿
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私、春元 恵。中学2年。幼なじみの光 香奈とクラスメートとしても仲良くしてる。
でも最近ギクシャク。といっても遠藤 勇馬のことで…私は彼に片想い中。香奈は好きな人いないとか言ってるくせに勇馬にアピールしてるし…
そんなグチをクラスメートの尾内 勇斗に聞いてもらってる。
いつもどおり、私は勇斗の隣にいた。
「お前さ、ホント勇馬のこと好きなの?」
「な…なに言ってるの」
「好きならオレの隣じゃなくて勇馬の隣にいろよ。本当に光に取られるぜ。こんなことしてていいのかよ」
「取られるのはいやだよ。でも…」
「今、サッカー部終わったぐらいじゃん。行ってこいよ」
時計は6時を指していた。
「バカ」
そういいのこして走っていった。真っすぐに延びた海沿いの道の先の君がいるグランドへ一直線。
陸上部の私ならきっと5分で着くだろう。

「お疲れさまでした――」
サッカー部の後輩の声。もう勇馬はいないかな…。
見渡すと そこには勇馬の姿があった。
あっちは私に気づいて近づいてくる。
「どうしたよ?今日部活なかったのか?」
「うん…まぁ…。ちょっと時間ある?」
「あるけど…?」
(何の用?)の質問の答えはない。
「ついてきて」
不器用な私の不器用な会話。
いつだって私は不器用だった。勉強も恋愛も。それでも真っすぐ自分の行きたい所へゆける。それが私だから。
いつも1人で行くグランドの近くにある小さな公園。
勇馬はしっかり後ろにいる。
私はジャングルジムの頂上にのぼった。
「隣行っていい?」
勇馬の質問に心臓が飛びだしそうになる。
「もちろん」
なんて言えないから小さくうなずくだけ。
ニコッと笑って勇馬は隣に座った。
少し肌寒い秋の1日だった。ずっと隣に居てほしかった。
時間はすぎてゆくけど ずっとずっとこうして居てほしかった。
もう6時半。辺りはもう薄暗い。勇馬の顔もぼんやりしてきた。
「あのさ」
私の口が開いた。勇馬がこっちを向いて目が合う。
「何?」
「香奈のことどう思ってる?」
あぁ、こんなこと言うつもりじゃなかったのに。
もう元には戻れなくて 下を向いた。



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