-過去の話-
店内にて。
「実は今日できたばかりで、君達が初めてのお客さんなんですよ」
カウンターに立ち、青年はそう言った。
「私達が?
なんか嬉しいなぁ」
「その紅茶、サービスしますね」
「ホントですかぁ?
うわぁ〜…店員さんもカッコイイし、私毎日来ようかなぁ」
「ちょっと唯那…あんたって子は」
「ホントのことじゃんか」
話題に上っている店員は微笑んで二人の会話を聞いている。
1時間ほど雪の城に居座り、店を出た帰り道。
「良い店見つけたねぇ」
「紅茶も美味しかったしね。まぁ、満足」
「なんで上から目線…」
楽しげに話す二人。
辺りの空気が変わったことに気付く様子もない。
ふいに一つの人影が路地から飛び出した。
それは二人の前に立つと、そのまま倒れた。
「え…??
大丈夫ですかっ?」
慌てて唯那が抱き起こす…と。
"ソレ\"には"頭"が無かった。
「いやぁぁぁぁ!!」
唯那の手には、赤黒い血液が付着している。
「落ち着いて唯那っ」
そう言う魅月の声も若干震えていた。
そして二人目の人影が姿を現す。
雪の城の、あの店員だった。
続く…to be continue.