注意)もしかしたら最終章の1が恋愛に入っている可能性があります。もしご興味がおありなら見て下さい。勘違いならすみません。
続き
警察は1番の友人である私に話を聞いた…私はこう答えた。
「マリアは綺麗だったからいつも変な男に絡まれていました。昨日も太った若い男に絡まれて怖いって言ってました…」
涙声で話す私の証言は重要視され、その男を警察は捜した…が、勿論見つかるわけもない。
美樹は思い出に浸るように電車の移り変わる景色を眺めていた。
わたしがマリアです
その言葉は藤堂を心底驚かせたに違いない。
信じられない藤堂に、あの日の情景を語ってみせた。実際に見ていたのだからたやすい事。
私は藤堂との問題を金銭で片をつける意向をしめした。
藤堂は疑惑と羞恥と…そして紛れも無い安堵の表情を見せた。
今まで自分を縛っていたマリアという呪縛から解き放たれたのだ。
精霊のように美しかった思い出のなかのマリアに彼は決別したのだ。
私は何よりその事に満足していた。
マリア。
あなたは存在してはいけないくらい美しかった。
汚された後でさえ、息をのむほどに。
推薦状を書いてくれた女に分け前を送り、全てはきっと終わる。
藤堂は気付いていたかも知れない。本当は私がマリアではないということに。けれど彼は調べはしないだろう。
解放された今、彼はただひたすらに自由なのだからー…。
景色がうつっていく。
ふっと視界に、マリアが映る。
それは薔薇園で会ったあの人形のように、美樹を見つめていた。
名前に違わない優しい笑みで、美樹を見ていた。
美樹は、蜘蛛に絡みつかれた蝶のように頭を振り払った。
マリアに憑かれていたのは、もしかしたら…。
美樹はしっかりと金のつまったバックを抱えていた。
その手は僅かに冷たく、震えていた…。
終