頭脳と頭脳(13)

未熟  2008-07-28投稿
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女の名前を聞き、警察官に話しをして、ビルから少し離れた路地にきた。
女の名前は由城彩香というらしい。
「で、あなたは誰?」
睨み付けてくる。
よく睨むな。
「ああ、俺の名前は藤村賢だ。」
本名を名乗る。
下手な嘘は関係を壊すからだ。
それに、彩香が覆面の仲間だったら当然に俺の名前ぐらいは知っているだろうし。
そして、握手をもとめる。
スキンシップは相手との距離をグッと縮める。
これからこの女を利用するんだ。
仲良くなっておかねばな。
しかし、握手は無視された。
なれなれしかったかな。
しかし、どうもなにかを考えてるみたいだ。
「賢? 藤村賢? まさかね・・・・・・」
なんか呟いてやがる。
「しかし、よく簡単に見知らぬ人間に名前を教えてくれたな。」
そう、彩香はあっさりと名前を教えてくれた。
警戒心の強そうなこの女が。
「ああ、そのこと。」
つまらなそうに語り始めた。
「あの場にあなたはいなかった。」
いい観察眼と記憶力だ。
「なら、あなたはあそこに入るためにあたしの兄と名乗ったはず。なら、あたしを引き取るのには名前がいるはずだからよ。」
頭もまわるな。
「友達と言った可能性もあるのでは?」
「その可能性もあるけど、家族のほうが不自然な感じはしない。」
そう。家族よりも先に友達が被害者に会いにくるのは少し不自然。
その時点でなんらかの質問をされる可能性がある。
また、警察官に印象が残りやすい。
「しかし、入るのを拒否されたり、たとえ入れたとしてもお前の名前をきかれたどうするつもりだったかわかるか?」
さあ、どうでる。
「簡単だわ。」
ほ〜う。
「爆破事件の場合、身元の判別ができないものも多数でる。身元確認のためにその人をよく知る人物に協力してもらわなければならない。」
賢いな。
「身元確認をしなければならないぐらいだから、名前なんてわかるはずがない。それに本当にその人が関係者か知ることもできない。これでどう?」
合格だ。
こいつは使える。
「たとえ、嘘の情報を流しても、証明手段はない。それが嘘だとわかっても、身元がわからないような状態なのだから勘違いですむ。そのとおりだ。」
満足そうな俺とは反対に、とても不機嫌そうな顔をしている。
「で、あなたはブレインのなに?」

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