「覚えてないんだ…」
そう言うと彼女は少しだけ泣いていた。
「愛してる」
と言って彼女を抱きしめた
その言葉には意味なんてなかった。
そしてこの海は前に来たことがある気がした。
なぜか思い出せない…
休日はほぼ毎週デートするようになった。
普通の高校生がするような
映画見たり、公園で話したり…
確実に俺は彼女を好きになっていた。
もちろんあの海にも散歩しに行ったりした。
小さい時に来たから覚えているのだろうとあまり気にしなかった。
「水泳部に戻んないの?」
聞かれたのは1000回目くらいかな。
「もう前みたいには泳げないから…」
俺は中学の時すでに、自由形の選手として日本で注目されていた。
もちろん将来も期待されていた。
中2の時全国大会で優勝したが、その年に近所の海で事故にあった。
その時のことは、ただ溺れたとしか記憶にない。
「なぜ溺れたか知りたい?」
かつぎこまれた病院で親に言われたが、
「足がつっただけだろう 知らなくていい。」
と答えた。