「・・・!」
「すいませんねぇ。ウチの娘が・・・」
そこには、布団に横になっている老人の姿があった。
「あの子はねぇ、ずっと1人で頑張ってきたんだ・・・。だから、叶えたい願いの1つや2つあるだろうに・・・」
老人は軽く咳をして話を続けた。
「このわしの体じゃ、その願いを叶えてもやれん・・・。今、あの子の願いが叶えられるんだったら・・・、あの子の願いが叶うまでそっとしといてやれんか?」
と、言うと老人は激しく咳をした。
「・・・」
2人は静かにその部屋から出た。
「どぅすればいいの?あのままじゃ・・・」
「どぅしようも無い・・・な」
と、その時沙羅がドアから入ってきた。
「あ・・・、さっきはゴメンナサイ」
沙羅は下を向きながら言う。
「私達こそ言いすぎちゃって・・・」
「もしかして、あのドアを・・・」
「あ・・・、ゴメンナサイ」
「いいんです。でも・・・、父は病気で…」
沙羅は、悲しそうな顔をした。
「だから、これを使って父の病気を・・・」
「そぅだったのか・・・」
「ゴホッ・・・うぅっ・・・」
「お父さんっ?!」
沙羅は、奥にあるドアを思いっきり開けた。そこには、苦しそうに息をしている父親の姿があった。
「お父さん!しっかりしてっ」
沙羅は声をかけるが、一向に激しい咳は治まらない。
「!」
怜は、沙羅のとった行動にハッとして止めに入ろうとした。だが、啓吾は怜の肩をつかんだ。沙羅の手の上にあったのは闇夢玉だった・・・。
「お父さん・・・」
沙羅は、両手で包む込むようにして闇夢玉を持ちそして、目を閉じた。
「沙羅さんっ・・・!」
「お父さんの病気が治りますように」
沙羅が、そぅ言うと闇夢玉はパッと光を放ち沙羅と父親を包んだ。