「…」
「…」
しばらく二人はお互いを見つめあったまま、沈黙の時が流れた。
「…よそうか、この話…」「…そうだな…」
二人は同時にため息をつくと、そそくさとベッドから降りた。
緊張気味にパンをかじりながら、ロイは目をさりげなく左右に動かして、辺りを見渡した。
女王アリネスの呼びかけで、ロイ、ルイス、リリーの三人はアリネスと共に朝食をとる事になったのである。
アリネスは優雅にスプーンを動かして、スープを飲み、対照的にルイスとリリーは緊張しながら、パンをちぎって、口に放り込んでいた。
「三人共、そんなに緊張せずに食べなさい。今は食事作法の勉強をしている訳では無いのだからね」
リグラはそう言って、スープを音を立てて飲んだ。
「リグラ、貴方はダメでしょう」
それを見て、アリネスは微笑みながら、リグラを注意した。
「おっと、こりゃ失礼」
リグラはおどけて笑い、三人にウインクした。
三人はそれを見て、緊張感が少し和らいだのか、笑顔を見せるようになった。
「あ…、そうだ、あの、一つ頼みたい事があるのですが…」
「何かね?」
リグラは一つ首を傾げながら、ロイを見た。
「実は…僕が生きている事を、父に伝えて欲しいのですが…」