話しの途中で大神は鼻をひくつかせながら辺りの様子を伺う。
その同じタイミングで真は何かの音を拾う。
「この音は…」
「ああ。団体さんがお出ましみたいだな。さっさとずらかるぞ」
そういうと大神は真のボードに足をかける。
「なにしてんだ?」
その様子を見ていた真は怪訝そうな顔で大神を見る。
「何って?…俺は疲れてんだよ。いいから早く出してくれや。」
そういって桑原を後ろに乗せると大神は顎で指示を出す。
「くっ…なんでだよ…」
そういいながらも桑原を戦いに巻き込む訳にもいかず渋々ボードを動かし自分はボードの下に作った取っ手を握り空へと舞い上がって行った。
−−−−−−
ピッ…ガガッ
「こちらアルファチーム。目標を見失いました。目標の現在地を確認して下さい。」
…ガガッ
「こちらガンマ。衛星からの熱探知情報では数秒に高速で移動した3人がおりおそらく高速移動にて離脱されたものと思われる。」
アルファチームの隊長らしき人物はゆっくりと空を見上げる。
先程までの青空と打って変わって今にも降り出しそうな空を見つめたあと視線を戻す。
ピッ…ガガッ…
「こちらアルファ1全員撤収だ。」
そう告げるとまるで幻だったかのように後ろの闇と同化して気配が消えていった。
「アルファチーム帰還します。」
イヤホンマイクを付けた女性がその後ろにいる小柄な人にそうつげる。
「そっか。成果無しってのは痛いけど大神があっちにつくとは思ってなかったからね。しょうがないさ。」
「現状の編成ではこのチームで街や彼等を傷付けずに彼等を拿捕出来る確率は5%未満です。」
「僕が加わったらどうなるかな?」
目深に被った帽子を少し上げながら小柄な者はイヤホンマイクの女にいたずらっぽく聞いてみる。
「主任がですか?主任が出向いたら無傷での拿捕すら0%ですよ。」
「あはは。やっぱりか。」
「主任の力は強力過ぎますから。ただ街や彼等を傷つけるだけなら100%でしょうが…」
「ん〜細かい作業とか苦手なんだよね〜。元々僕の力は細かい事には向いてないし…」
「だからこそ待機していただいてるのですよ。」
「はぁ〜い。」
「本部に帰ったら何か食べに行きましょう。」
「うん!お姉ちゃん。」
そういうと二人の乗った車は走りだした。