僕は君の未来を永遠(トワ)に。<62>

麻呂  2008-08-01投稿
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空港には少し早めに着いた――


彼女は直ぐに搭乗手続きを済ませ、小さめのキャリーバック一つを預けた。

此処、新千歳空港には、吹き抜けの造りのショッピングモールがある。


僕達は時間までを、そのショッピングモールを見て過ごす事にした。



『そこのお兄ちゃん!!彼女に、ほれ、美味い毛ガニのお土産なんていいっしょ?!』


海産物を主に扱っているらしい土産屋の大将が、僕達を北海道観光に来ているカップルだと勘違いしたのか、


わざとらしい北海道弁なまりを混ぜて、毛ガニを勧めてきた。



『はぁ。どうも。』

こちらもわざとらしく愛想笑いをしながら、その土産屋の前を通り過ぎた。



『あはは。あたし達、観光客に間違われたのよね、きっと。』



『うん。さっきから同じ店の前をぐるぐる回ってるからね。』



『いやだぁ。だから?!よね?!』



『そうだと思うよ。』



そんなたわい無い話をして過ごしているこの時間が、もう二度と戻って来ないのかと思うと、


この一分‥一秒が物凄く大切に思えた。


『未來。見て。四つ葉のクローバー。』

エリカちゃんが手に取ったのは、四つ葉のクローバーが埋め込まれたキーホルダーだった。



『それ、買ってあげるね。エリカちゃんに幸運をもたらしてくれるように。』



『あ、ペアのネックレスタイプもあるわよ。』



『いや。ネックレスじゃない方にしよう。』


僕は、その四つ葉のクローバーが埋め込まれたキーホルダーを彼女にプレゼントした。


最初で最後のプレゼントを。



『ありがとう。御守りだと思って大切にするね。』



『そうだ!!エリカちゃん。展望デッキに行ってみない?!』


僕は、彼女を展望デッキに誘った。



展望デッキに出ると――



キイイイイイ――――ン―ー‐


今、離陸したばかりの飛行機が、空の彼方に消えて行くのが見えた――



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