僕達は、展望デッキの鉄柵に手を掛け、二人で並んで立っていた。
『札幌と東京なんて飛行機で二時間もかかんないじゃん。』
彼女が言った。
『そうだよね。日本と外国で遠距離恋愛してる人からしてみたら、札幌と東京なんて、小樽と札幌みたいなものだし。』
『やだ。未來。それってあたし達が恋人同士みたいに聞こえる。』
『‥‥‥あ。そっか。ごめんごめん!!』
『ぷっ。やっぱ未來は未來だね。』
『なんだそりゃ。』
『でも‥‥あたし達、これで二度と会えなくなる訳じゃないと思う。ね?!』
彼女のその言葉に深い意味が無い事は分かっていたが、僕はその言葉が嬉しかった。
『そうだよ!!僕、エリカちゃんが女優になって、有名になって、エリカちゃん主演の映画が“アカデミー賞”に選ばれて、“主演女優賞”に輝いたら‥‥
僕、友人代表で、でっかい花束持って、手渡しに行くからっっ!!』
『あっはっはっは。未來最高!!』
彼女は顔をくしゃくしゃにして笑っていた。