僕は君の未来を永遠(トワ)に。<64>

麻呂  2008-08-02投稿
閲覧数[381] 良い投票[0] 悪い投票[0]


『そろそろ時間だから行くね。』


出発時間の三十分前というだけあって、手荷物検査をする為に並ぶ人の多さで、

僕達にとって最後の言葉を交わす場面さえも、決してロマンチックとは言えなかった。



『向こうに着いたら、こっちとの気温の差が激しいから、体調には十分気をつけてね。』


僕が彼女に掛けてあげられる精一杯の言葉だった。



『うん。ありがと。』


徐々に前に進む人の流れに付いて、僕は彼女の横に寄り添って歩いた。


彼女が手荷物を係員に差し出す直前、僕に最後にこう言ったんだ。



『未來。再会出来た事‥‥本当に嬉しかった。』



『僕も。嬉しかった。ありがとう。』



彼女は静かに微笑んだ――



その笑顔は、確かに僕の瞳にしっかりと焼き付いた――



だから僕は、この夏の経験を、僕と彼女との最高のひと夏の思い出として、



何時までも僕の心の中に忘れる事なく残しておこうと思う。


何時までも――



時の流れに、色褪せる事もなく――

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 麻呂 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ