私は寺島に目をやった。
彼自身も戸惑いが隠せない様だ……。
「寺島さん。この事は誰にも言わないで下さい。我々も桂家を詳しく調べてみますので、深く考えないで下さい。もう一度聞きます、本当に男女の仲ではなかったんですね？調べたら分かりますよ？」
………
「違います。僕は由美さんに付き合わされただけですよ。片思いでした。」
「うむ。……他にどんな些細な事でもいいです、何か変だとか不思議に感じた事、或いは…男の陰とか？」
寺島は考えた。そして大きく息を吐くと 思い出し、確認する様に言った。
「んー、確か好きな人はどんな人か聞いた事がありました。その時、由美さんは、僕に、〈男の人は同時に何人も愛せる？〉って聞いてきたんです、だから僕は無理だと答えました。……由美さんが哀しそうな表情だったので、何かあったのか聞いたんです、そしたら泣き出して、〈ありがとう、大紀君みたいな人好きになれば良かった…私の家系は女が苦労するんだ、運命ね、ちなみに好きな人は、何人もの女性を愛せるし抱ける人よ。〉……って。」
寺島は 頷きながら、こちらを見た。
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