「やれやれ、マイッタ」
ため息付くルーク。
気の荒いディックに執拗に問い詰められ、ホトホト参っていた。
女の子に礼を言う。
「ありがとう、助けてくれて」
「礼なんて、イイわよ」
「確か君は…、隣りのクラスの」
「私の名前は“シェリー・ハイバー”。
アンタ…、ルーク・ハリーって言うんでしょう?しかも、キャサリン・ロバーツの恋人」
「え? 僕の事、知ってるの?」
「キャサリンから聞いたから。私、あのコとは親友なの」
「ヘェ、そうなんだ」
「ルークも、とんだ災難ね。被害者と最後までいたからと言って、犯人扱いされるなんて」
「仕方ないよ、あの2人…元々、僕とは折り合いが悪いんだし」
「ジミーも確か、そう言ってたわね」
「ジミーを知ってるの?」
「彼とは、恋人同士よ」
「ヘェ、それは知らなかった」
「みんなには、秘密にしているんだけどね」
「ジミーが死んだから、ショック受けているだろう?」
「まあね」
「なあんか、僕が犯人扱いされちゃっているけどね」
「でもアンタはやっていない。…そうでしょう?」
「勿論だよ。でもディックもティムも、僕が犯人だと決め付けている」
「私は信じているわよ。アンタはやっていない事を」
「ありがとう。そう思ってくれて、嬉しいよ」
ルークがこう言うと、シェリーは微笑んだ。
笑顔がサイコーである。
そんなさわやかなシェリーにも、ルークは本当の事は話さなかった。
やはり、人形が動くところを見せないと…状況は理解出来ないからだ。
コレからどうしたらイイのだろう?
考えた末、ルークはアースルに会って、事情を話す事を決めた。
────────
誰もいない夜道をトボトボと歩くエリザベス。
街角に建つ公衆電話ボックスを見つけ、ドアを開けて中へと入った。
備え付けの収納ケースに入っている電話帳を取り出すと、ゆっくりとページをめくり始めた。
見つけたのは、或るページに載っている個人宅の電話番号と住所である。
エリザベスは目を付けた箇所に手を当てた。
「キャサリン…ロバーツ…」
つづく