「それで、何しに来たんだ？茶化しに来ただけか？」
ダンテは不機嫌な様子で冷たく言い放った。
「お前ら遠出をするのは久しぶりだろ？それで情報を提供しにきたんだ」
メアリーによれば空賊の行為が過激化し、船どころか国を襲う者も現れその数も年々増えてきているらしい。
他にも幽霊が出ただの物騒な情報ばかり聞かされた。
「まぁその小さい船でせいぜい頑張るんだな。」
最後にメアリーが嫌みっぽく言うと愛車ならぬ愛船をバカにされたダンテはついつい声を荒げてしまった。
「本当に嫌な女だな、わざわざ俺の前に現れやがって…」
いつも陽気な船長が怒っている。ソラは状況を把握できずマミーに目配せしたがただ黙っていた。
「そんなことで怒るやつじゃなかっただろ？昔はもっと良い男だったのにな」
メアリーは半分呆れた様子で笑ったがダンテは明らかに穏やかな表情ではなかった。
「昔は…か。元はと言えばお前のせいだろ！俺をこんなにしたのは…」
ダンテは口ごもりその後２人の間にしばらく沈黙が続いたがあの破滅の魔女の口から思いがけない言葉が出てきた。
「…すまない……」
ただ一言、魔女の震える唇から発せられたその言葉はどこか悲しみに満ちた後悔の言葉に聞こえた。
だがそれを聞いたダンテは更に表情を歪めた。
「クソ…！そんなこと言うつもりじゃなかったのに…やっぱかっこ悪いな俺……」
ダンテはそう言うとメアリーに何も告げず「行くぞ」とソラ達に一言言って船の中に入っていった。
マミーはメアリーと別れの言葉を交わし船の中に入っていく、それを見計らいソラも船に戻ろうとした。
「お前が新人か？」
あまりに突然でソラは驚く事も忘れ振り返った。
メアリーはツカツカと近づきソラの両頬に触れるとジッとソラの瞳を見つめた。
「『奇跡の子』か…名前はソラだったよな？」
ソラはキョトンとするだけだったが体の中に何か熱いものを感じていた。
美女に見つめられているから？それもあるが、メアリーのどこか母親のような優しい眼差しに熱いというより心地よい温かさを感じていた。
「ダンテに『死ぬな』って伝えといてくれ。じゃあな、ソラ」
メアリーはソラのおでこにキスするとヒールの音を響かせ去っていった。
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