僕は君の未来を永遠(トワ)に。<65>

麻呂  2008-08-03投稿
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彼女の姿が見えなくなると、僕はまた展望デッキに上がった。



『パパ。あれ、ジャンボ?!』



『うん。そうだよ。大きいねぇ。』


見た感じ、30代半ば位のお父さんと、その息子かと思われる5〜6歳位の男の子が僕の直ぐ横に立ち、仲睦まじく会話をしていた。


思わず頬の筋肉が緩んだ。


自分の子供の頃の姿と重なったからだ。




♪ ♪ ♪ ♪ 〜 ♪


ふと、携帯からメールが届いた事を知らせる着メロが鳴り響いた。



《未來。もう飛行機に乗り込む時間が来たの。今日は時間まで付き合ってくれてありがとう。気をつけて帰ってね。》



エリカちゃんからだった。


あと、もう何分かでエリカちゃんは、この住み慣れた北海道から離れる事になる。


メールの返事を読んでもらうのは今しかない。


僕は直ぐにメールを返信した。



《“付き合った”んじゃないよ。僕が一緒にいたかったんだ。エリカちゃんもお体に気をつけて。》


ありきたりな内容になってしまった事に少し後悔した。


本当は、もっと格好いい別れ方をしたかった。


そんな事にこだわっても、君とはもう一緒の時間を過ごす事が出来ないのに。



滑走路を動き始めた一台の飛行機が、今離陸した――



太陽の光が眩しくて――



目を細めながら空を見上げた――



涙で霞んだ飛行機は――



やがて――



空の彼方へと姿を消した――



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