史上最強でアホな父!

坂崎金太  2008-08-03投稿
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とても平和で穏やかな朝が来た。
そんな朝に――
「必殺!コロッシング・キ〇肉バ〇ター!!」
「ゲフゥ!」
――なぜ俺は血を吐かねばならないのだ?
「父よ……起こすときは優しく体を揺するくらいでいいから……グフ」
「おう、おはよう力也!」
聞いちゃいねえ。
……さて、ここまでの流れで突っ込むべきところが三つ。
一、なぜこんな起こし方をされたのか。
二、必殺「コロッシング・キ〇肉バ〇ター」とはなんなのか。
三、父は一体なんなのか。
それぞれの回答はこうなる。
一、日課。
二、俺も初めてされた。
三、史上最強でアホ。
「あのさ……もうそろそろ身体がもたないんだけど」
「今日の朝飯はスパゲッティだぞ!」
「聞けよクソ親父!……ってか、スパゲッティ!?」
一応言っておきます。ここは日本です。
「どこの家庭が朝飯にスパゲッティなんか食うんだよ……俺はいらん」
「ちゃんと食えー!!」
「ブゥォグ!」
そのバックドロップは、床に頭が刺さるほどの勢いだった。よく死なないな、俺。
「朝飯を抜くと身体の調子が悪くなるぞ!例えば、日本を走って横断していた時に倒れたりな!」
そんなことしねぇ。
「はいはい、わかった。食えばいいんだろ?スパゲッティで元気になれるかよ……てか母さんは?」
そういえば、気配がない。
「母さんなら同窓会のために実家に帰ってるぞ!」 なるほど、逃げたか。
「だから朝飯は俺が作った!」
「うん、分かってる。母さんならまともな朝ごはんだろうから」
母さんはなぜ俺を置いて行ったんだ……。
「これから一週間俺たち二人で生きるのだな!」
まさにデッド・オア・アライブだよ、母さん……!
「よし!とりあえず朝の運動に日本横断だぁ!!」
……デッドだよ、母さん。
「……………………………………………ちょっと待ってて、父さん」
俺には、やるべきことがある。
「なんだ!?早くしてくれよ、身体がそわそわしている!」
「少しだけ。母さんに遺書を書くだけだから」

史上最強の父をもつと、命がいくつあっても足りない。
こんな日々が続くのか、それとも俺が死んで終わるか。

まだ、判らないのだ。



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