キャプテンとメアリーの間に何があったのか?それはマミーから直接聞いた。
過去の話をすることに対してキャプテンはあまり乗り気ではなかったが、目的地の『ドラゴンの巣』と少なからず関係があるらしくマミーを通して過去の話を聞かされた。
それはキャプテンのハンター時代まで遡る。
メアリーとパートナーだったキャプテンは今と変わらずこの愛船『ノア』に乗って主に宝探しを専門とするハンターをしていた。
2人ともまだ10代という若さにも関わらず周りのベテランハンターも一目置くほどの成果を上げていたらしい。
そんなとき、ある旅の途中で事件が起きた。
若さに加えて己の力を過信していたのか名人クラスのハンターでさえ近づかない『ドラゴンの巣』を宝探しの目的地に選んでしまった。
その『ドラゴンの巣』までもう少しというところでキャプテンは絶対に犯してはいけない罪を犯したのだ。
『竜殺し』。その罪を犯した者はドラゴンの呪いを受ける。呪いはドラゴンの色によって様々だ。
その中でもキャプテンは神と崇められる『白銀の竜』を殺してしまった。白銀の竜の呪い、その呪いを受けた者は二度と地上に降りられなくなる。
そこまで聞いてソラは口を挟んだ。
「地上に降りられないくらい問題ないんじゃないの?」
もっともな質問だ。空で暮らす人間にとって地上に降りられないことはさほど問題ではない。
だがキャプテンはかなり稀である地上出身者らしく二度と故郷の地を踏むことができなくなった。
故郷にそれほど思い入れはなかったがそのころの地上は疫病が大流行し、その特効薬を取りに行くためにたった2人でドラゴンの巣に行く事にしたのだった。
そんなときに起きたタイミングの悪すぎる不幸。
キャプテンは空で何もできずに故郷の人間が全員死に絶えたことを聞かされた。
「…どうしてドラゴンを…?」
ソラは再び口を挟んだ。
「いつも穏やかな白銀の竜はそのときはなぜか突然襲いかかってきた。…負傷したメアリーを守るために…それで殺した。呪いのことは知っていた。…でも俺は自分の女を守るために故郷の人間を死なせてしまったんだ…。」
その事件の後、それが原因で塞ぎ込んだキャプテンとメアリーとの仲はギクシャクしたものになった。