先生の教えを全て完璧に実行する事は容易では無いかも知れません。 しかし、常に積極的な気持ちを持ち続ける事が大切だと思います。
2004年1月、私と私より2ヵ月位先輩の30歳代半ばのアルバイトをしていた男性が、我々の担当課責に呼ばれました。 ミーティングテーブルに座ると、
「君たち、当社の嘱託社員にならないか?」
と、課責から唐突に言われました。 全く突然の話しで、驚きましたが、私は、
『チャンスが来た。』
と、心の中で叫びましたが、いたって平静を装って、しばらく考えてから、
「今月末まで考えさせてください。 2月初めまでに返事します。」
と、回答を保留しました。 本心は嬉しさ一杯で、すぐにでも、
「ありがとうございます。 喜んで嘱託社員にしていただきます。」
と、快諾したいところでしたが、今後の契約の事を考えると、すぐにこの話しに食い付くと、足元を見られて、安い賃金を設定されそうで、さも気の無さそうな振りをしました。
もう1人の男性は、
「私は、正社員になれる仕事先を探しています。 正社員でで雇用していただけるのであればお受けしますが、嘱託社員であればお断りします。」
と、即答されました。 この男性は非常に真面目で、他を探しながら、この件は保険として保留しておくという事をしませんでした。 この時、私は、
『もう少し柔軟に、回答を保留したらいいのに。』
と、思いましたが、本人が即答されたので、助言してあげる機会を失いました。
この男性とは、1度だけ仕事を一緒にしましたが、真面目で、親切で、仕事が早く、なおかつ丁寧でした。 私は1度で、この男性に好感を持ちました。 できれば、一緒に嘱託社員になって、一緒に正社員目指して頑張りたかったのですが、その希望は叶いませんでした。 あと少しの慎重さと、狡猾さがあれば、私の希望は叶ったかも知れません。 結局、貯水タンク清掃業に正社員として就職を決めて、去って行かれました。
私はハローワークの高キャリアに登録して数社の面接を受けましたが、採用してくれる会社はありませんでした。 今、冷静に考えてみると、会社を倒産させた人間を採用したい企業は無いと思います。 私が採用をする側でも、おそらく二の足を踏んだと思います。 倒産の理由を説明しても、おそらく言い訳にしか聞こえなかったと思います。
つづく