未来をみる少女

黒風呂  2008-08-03投稿
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彼女は言った。
『未来は変えられない。』と。
俺はそんなこと信じない。
彼女はいつも未来を見ている。いや、見てしまっている。
それから彼女は一冊のノートに未来を書き写している。
俺がそのノートをのぞいたことはない。
まぁ、のぞきたくもないが。

彼女が未来を見えることは俺くらいしか知らない。


ある日のことだ。
突然彼女は言った。
『私、今日死ぬの』
俺はいきなりのことでよくわからなかった。
でも彼女は冷静だ。きっと何日も前からこの日を見ていたのだろう。
俺は彼女に言った。
『未来なんて絶対なはずがない!そう言ってるだろ?』
別になんの根拠もない。ただ、言ってみただけだ。
『未来は絶対よ』
『じゃあ、だ。例えば俺がここで。』
俺はいきなり逆立ちしてみせた。
『今俺がこの場でとっさにやった逆立ちが予想できたのかよ?』
できるはずがない。と俺は思ってた。
『ええ。』
彼女の答えはそっけなかった。
俺もそれを聞いたとき、彼女は今日死ぬのだと思ってしまった。


きっと今、予言のその時がきた。
彼女が歩道を歩いているときだ。
前からトラックが一台。彼女は静かに目を閉じていた。

『おきろ!』
『え?』
彼女は助かった。
俺が助けた。
でも、俺の方は重傷だった。
俺は普段、人助けなんて絶対にしない。ましてや人のために傷つくなんて絶対にありえない。

俺は、ありえないことをしてみたんだ。
だから未来は変わった!彼女は助かったんだ。

『ありがとう。』
彼女はそう言って、家に帰って行った。


その夜だ。俺は病院で一冊のノートを拾った。
彼女のだ。
俺ははじめてそのノートをひらいた。
『ああ・・・』



夜が明けた頃、近くの川で彼女の遺体はみつかったそうだ。



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