「でもキャプテン?今特効薬を取りに行っても故郷の人はもう…」
キャプテンとメアリーの関係は分かったが今だにドラゴンの巣にこだわる理由が分からなかった。
「その故郷に帰るためだ。ドラゴンの巣にある『ドラゴンの光』にあてられれば呪いは消えると言われている。」
キャプテンはあれからずっと遠くの空を見つめている。
キャプテンが地上に降りる理由はなんとなく分かった。故郷の人間を死なせてしまったこと、今でも悔やんでいるのだろう…。
「…あぁー!なんか湿っぽくなったな!今までの話は忘れろ!それよりソラ、旅の本当の目的教えてなかったよな」
いつものキャプテンに戻ったようだ。少し無理をしているようだが…
てっきり呪いをとるための旅だと思っていたがどうやらそれだけではないらしい。
「本当の目的はな。戦争の神『オーディン』に会うことだ。」
…………
「…は?オーディンって、あのおとぎ話に出てくる?」
「そうだ。オーディンに会って俺の持ってる『始まりの銃』とマミーの持ってる『始まりの剣』を返しに行く。」
………?オーディンに会う?始まりの?ソラはまったく話についていけないでいた。
「正直オーディンに会えるかどうかは分からないんだがな」
ソラはポカンと口を開けキャプテンの話を聞いている。とても理解できる話ではない。
『始まりの銃』と『始まりの剣』はオーディンが人間に与えた争いの種。
戦争がなくなる度にオーディンは新たな武器を与え再び人間を戦争の世界へ引き戻した。
オーディンの始まりの武器は人間に複製させるため決して破壊できない戦争の種、それは永遠に消えることはない。
キャプテンとマミーは世界中を飛び回りやっとの事でその2つの武器を手に入れた。
その武器をオーディンに返す事で2人はこの世界から戦争をなくそうとしていたのだ。
それがあまりに壮大で深く、ソラがその話を理解したのはしばらく後のことだ。
「場合によっちゃあ戦争の神と戦争になるかもな。気合い入れていくぞソラ」
キャプテンは冗談っぽく笑うとソラの背中をポンと押した。