* * * * * *
それから一年後――
『ねぇ未來。そんなに緊張しなくてもいいからねっ!!』
ペーパードライバーだった僕が、もう一度、自動車学校の特別講習を受けて、
なんとか普通に運転出来るようになって早一年――
そして、エリカちゃんが僕の彼女になって早一年――
エリカちゃんの実家が帯広だから、やはり車を運転出来る事は必須。
今、僕の運転する車の助手席には、エリカちゃん‥‥彼女の姿があった。
『うちの両親に初めて会う訳じゃないじゃん。』
『うん。そうだよね。今日で3回目‥‥だっけ?!』
『4回めっっ!!』
エリカちゃんの御両親とは、何度か面識があった。
凄く気さくで話しやすい御両親だ。
初めて御両親に会った時、一人娘の彼女とお付き合いをさせて頂いている僕の事を、“息子が出来た様だ。”と、凄く喜んでくれたのを覚えている。
そんな僕は今日、初めて彼女の実家へ行った時以上に緊張していた。
何故なら――
今日は、エリカちゃんを一生守り抜く決意を、御両親に報告するつもりだからだ。
この事はまだ彼女には言っていない。
『未來。そこのコンビニで停めて。あたし、ジュース買ってくる。』
彼女が車から降りる瞬間、
コトン――ッと音がした。
彼女は気付かず、コンビニの中へ入ってしまったが、運良く車の中に落ちたソレを、僕はしげしげと見つめてしまった。
――スケジュール帳???―――\r
なんだ。
スケジュール帳か。
よく見ると、何か挟んである。
別に盗み見るつもりはなかったのだが、スケジュール帳に挟み込まれたソレが、大事そうに持ち歩かれているのかと思うと、
僕の中の興味と好奇心が、その衝動に駆り立てられたのだ。
僕は、スケジュール帳に挟んであった、淡い水色の封筒の中に入っていた便箋2枚を取り出した。