エリカおねえちゃんへ
おねえちゃん。みらいにいちゃんを、こんどこそ、はなしちゃだめだよ。
ぜんせとおなじまちがいだけはしないで。
じぶんのきもちにすなおになって。
おたがいにだいすきだったのに、いっしょになることができなかったぜんせのきおくは、すこしだけおねえちゃんのきおくのなかにのこっているの。
それにきがついて。
みらいにいちゃんは、せんざいいしきのなかで、ずっとまえからきづいているよ。
ユキは、みんなのぜんせがわかっちゃうことで、まわりのおとなたちから“へんなこ”だっていわれつづけてきたから、
ずっとずっと、その“へんなこ”をかくしてきたけど、
エリカおねえちゃんとはじめてあったとき、すごくつらいぜんせのきおくが、ユキにつたわってきたの。
だから、ユキはあのひエリカおねえちゃんだけに、こののうりょくのことをおしえてあげたんだよ。
だからぜったいにだれにもいわないでね。
おんなとおんなのやくそくだよ。
それととうきょうにいってもユキのことわすれないでね。
さようなら。
ユキより
2枚に渡って書かれたその文章を、急いで最後まで読み切ろうとするが、涙で文字が霞んで読みにくかった。
『未來‥‥‥。』
ジュースを持ってコンビニから駆け足で戻って来た彼女に、全く気付かずに僕は夢中になって、その手紙を読んでいた。