心のある場所

龍王  2006-05-30投稿
閲覧数[792] 良い投票[0] 悪い投票[0]

世界にはたくさんの国がある。
その中の一つ国〈ルナ・ライト・サン〉国は〈聖なる巫子〉と人々から呼ばれる少女がいた。
その少女は国の要で、国にとって欠かせない者だった。

ルナ・ライト・サン国。
国内にある神殿の塔の一室から、争う声が聞こえる。

「いいですか?巫子様、今日は他国の王族の方々が巫子様の〈洗礼〉をわざわざ受けに来て下さいます」

立派な白髭の厳格ある老人が、目の前で行儀悪く椅子に座っている〈巫子〉に、半分溜め息をもらしながら説明している。

「………」

巫子と呼ばれる者は不機嫌にソッポを向き、老人の話を真面目に聞いていない。

「巫子様!!聞いてらっしゃいますか?!」

声を張り上げ怒鳴られると、巫子はギロッと老人を睨む。

「あのな!オレは…」
「巫子様!口の悪さを直して下さい!!」

それを聞いた巫子が、ガタッと椅子から立ち上がり更に老人を睨みつけた。

「オレは男だ!何でこんな女の格好しないといけないんだ!」
「今はあなたが〈聖なる巫子〉様です!!蒼稀殿」

一瞬グッと口ごもるが、まだ反論を続ける。
「だって…姉上は…」
「あなたの姉君〈朱稀〉様が本当の〈聖なる巫子〉様ですが、双子である弟のあなたに身代わりを頼むと書き残し、今は行方知れず…蒼稀殿、あなたも身代わりを〈する〉と言ったのですからちゃんと完璧に身代わりをして欲しいものですがね」
「だ…だって…姉上はちょっと身代わりを頼むと言ったのにもう一月も…」
「一月だろうが一年だろうが、承諾したのなら最後まで身代わりをこなしていただきます。では今日の日程の続きですが…今度はちゃんと聞いて下さいよ、巫子様!」

身代わり巫子の蒼稀は握り拳を震わせ、怒鳴った。

「オレは男だ──────!!」

朝からむなしい叫びが神殿から鳴り響いていた。
















初めまして、龍王と申します。
初投稿です。
不礼儀もあるかもしれませんがよろしくお願いします。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 龍王 」さんの小説

もっと見る

ファンタジーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ