深夜。
麻雀の罰ゲーム。
近くの神社にお参りに行く…が罰。
その神社は有名で、ワラ人形の呪いを実行する者が多数来ると言う噂だった。
今時ワラ人形って、と笑いながら聞いたのを覚えていた。
呪いでは極定番な話。
まさかマジに実行する奴がいるなんて思いもしなかった…
「ッ…ハァハァ……んっ」
息を切らし、木の陰に隠れている。
滝汗を流し、心臓は大きく音をたて脈打つ。
深夜の神社、見てはいけないものを見てしまった。
「……なん…あれ…マジかよ…」
サンダル履いた平凡な男はまばたきを忘れ、血の気も引き、蒼白な顔をしている。
男は顔を手で覆い、木にもたれ落ち着こうとしている。
「Σ!!」
ザクッザクッと葉の落ちた地面を踏み歩く音が聞え、男はビクッと身を強張らせると息を止め、木の陰から慎重に音の方に目を向けた。
「Σ!!!」
少し離れた向こうで、髪の長い女性が刃物を持って幽霊のように歩いていた。
後ろ髪を前に垂らし、猫背のように丸く背を曲げ、片手には刃物、もう片方には釘とハンマーを持っている。
夜の闇の中、女性は一歩一歩男に近付いてくる。ザクッザクッと踏み音が近付いてくる。
男は手を組み、息を殺す。
「……あぁ…見ぃつけたぁぁ…」
女性は男の隠れている木の手前で止まり、しゃがむと髪の毛を拾った。
「…フ…ハハ…ハハハハ…」
女は不気味に笑い声をあげると、拾った髪を舌で舐めニィィと笑い、男がいるのに気付かず姿を消した。
「ッハァハァハァ…」
充血した目、乱れたバサバサの髪、血のついた刃物。
男は不気味な女性に追い掛けられていた。
安心した男は息を乱し、一気に恐怖は絶頂に達し、そのまま意識を無くした。
女の笑い声を耳に残し…