祈りは届くものだ
四回目のコールで出たのは紛れも無い君の声
一瞬言葉に詰まる
名前を言うと君は嬉しそうな声をした
やめて欲しい
それだけで嬉しくなって正気を失いそうになる
直ぐに別の人に繋いで貰うのも何かもったいない気がしてどうにか会話を繋げた
迷惑そうな声もせずに付き合ってくれる
冗談で口説いてみたり
また飲みに行こうと誘ってみたり
もう何をやっているのか何を言っているのか分からなくなる
それでも君は相変わらずの気遣いで僕に乗ってくれる
誘いに迷いもなく答えてくれるから何となく不安がよぎった
社交辞令という言葉は良く耳にする
燃え上がり始めた想いが少し和らいでいった
君の迷惑
君の本心
自分の気持ちだけで突っ走っても何処かで君の重荷になるかもしれない
そんな時真実を隠そうと思っていたズルイ自分が崩れかけた
それでも抑えようと思ったのにもう遅かった
『俺結婚してるんだけどね』
隠してもどうしようもない
後悔しても仕方がない
これが現実