〜東の空〜
空賊船エンペラー号内部
「船長、簡単な修復は済ませましたが早いとこ近くの島に上陸したほうがいいっすよ」
船の整備担当の船員は船長に船の状態を告げた。
「あぁ分かってる。…まったく運が悪すぎだ。立て続けに化け物どもに攻撃されるなんてよ。」
船長は深くため息をついた。
「船長!大変だ!前方に『大鷲』が!」
船員が船長室のドアを勢いよく開け飛び込んできた。
「大鷲?そんなもん撃ち落としとけ!」
船長は素っ気ない返事をしたが船員は船長の両肩を揺すりがっついてくる。
「それが尋常じゃないデカさなんすよ!…人が背中に乗れるくらい…!ていうか乗ってるんすよ…人が!」
それを聞いた船長はテーブルの上に開いていた地図を怒りにまかせ振り払った。
「くそったれ!またか!『幽霊』の次は『悪魔』かよ!」
船長がそう叫んだ瞬間その声は轟音と共にかき消された。
「何が起こった!状況を報告しろ!」
再び叫んだ船長に船員が即座に答える。
「船を…船を割られました!」
バリバリと音をたてエンペラー号は真っ二つに裂け始めた。船員達は叫び声を上げ壊れていく船の上を走り回っている。
船の周りを風を切りながら飛ぶ大鷲。
エンペラー号の船長は壊れゆく船からその大鷲を駆る黒い影を睨みつけた。
壊れる船に対し悠々と飛行する大鷲はしばらく船の周りを飛び回ると遠く東の空へと消えていった。