彼女

はこもの  2006-05-30投稿
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「久しぶりね」と言って彼女は紅茶を飲んだ。

「うん」離婚してからもう1年も経っていた。その間、僕たちは1度も会わなかった。お互い仕事で忙しかったし、それに特に会おうとも思わなかった。だいいち、きっと間がもたない。

なんで彼女は今日、僕を呼び出したのだろう。

「あのね」彼女は口をひらいた。僕の心でも読めるのだろうか。「私、来月結婚するわ」

「僕の知ってる人?」僕はコーヒーを飲んだ。

「いいえ」彼女は紅茶のカップを見ながら話した。「それからニューバージニアに行くわ。彼の仕事の関係でね」

「元気でね」それが僕が彼女に言えるすべてだった。

「あなたも」そう言うと彼女は店から出ていった。

その夜、僕はニューバージニアの事を考えながら寝た。



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