「久しぶりね」と言って彼女は紅茶を飲んだ。
「うん」離婚してからもう1年も経っていた。その間、僕たちは1度も会わなかった。お互い仕事で忙しかったし、それに特に会おうとも思わなかった。だいいち、きっと間がもたない。
なんで彼女は今日、僕を呼び出したのだろう。
「あのね」彼女は口をひらいた。僕の心でも読めるのだろうか。「私、来月結婚するわ」
「僕の知ってる人?」僕はコーヒーを飲んだ。
「いいえ」彼女は紅茶のカップを見ながら話した。「それからニューバージニアに行くわ。彼の仕事の関係でね」
「元気でね」それが僕が彼女に言えるすべてだった。
「あなたも」そう言うと彼女は店から出ていった。
その夜、僕はニューバージニアの事を考えながら寝た。