「え…私が…??」
その時こっちを見た反転した自分がふと何かに気づいたようだった
「あ あなた…そうよね そりゃわかんないわけだ」
本当にわからない
ここに来てから理解できることはまだ一つもない
「しばらくきてなかったしね…あなたはこれだったわね」
また意味のわからない事を増やされた
カーンッッ
背中のほうから突如音がした
おもわず飛び上がってしまった
汗が手ににじむ
そっと後ろを見た
そこにはとても古びた包丁が落ちていた
刃には何やら赤い物がこべり付いている
サビだろうか
「それはあなたがあのときつかってたものよ」
しばらく黙っていた反転した自分が突如話しだしたのでまた驚いた
「はやくもってよ せっかくだしてあげたんだから」
そっと手に取った
すると鼻がひくついた
そして一気に血の気が引いた
ここは暗いのでよく解らなかったが手に取ってようやくわかった
この臭いは…血…
包丁に血が付いている
悪いイメージしか思い浮かばない
「これ…私が…??」
なぜだ
包丁はとても手にしっくりくる
震えは止まり汗も引いていく
逆にそれが怖かった
自分はおかしくなったのだろうか
「どう なつかしい?」
懐かしいもなにもない
自分は料理なんて全然できない
包丁を触ったのは最近の調理実習しか覚えがない
それなのに懐かしい
反転した自分が言う通り懐かしい感覚がある
「私 これをどこで?」
「ほんとにぜんぶおぼえてないんだね…ここでだよ」
!?
「私こんなとこ初めてだよ!!」
声が響く
「おぼえてないのもむりないよ まえはうまれたときだったからね」
「私…生まれてすぐに包丁を…??」
「そうよ それでほかのあなたをぜんいんさしころしたわ」
普通なら理解できない事を言っている相手
だけど…真実に聞こえるのはなぜか
「もうはなしてるじかんはないよ」
え…
コツ
「ほら
もうそこにいる
殺しなさい…
それしか残されてない…
生き残れ…」
画面が突如黒になった
勝手に消えたようだ
コツ
音がさっきより近い
コツ
殺生へ