―それはとある雨の日に起きた奇跡だった― 奇跡 今日は大阪は雨に見回れるでしょう。傘の用意を忘れずに! 名前まで覚えてないしラジオなので顔も知らないが今元気系キャラで人気を集めているらしいお天気キャスターのお姉さんの声が頭の中を反芻している。今はちょうど5時になった頃。空はどんよりとしていて空気は生ぬるい。次にバスが来るのは40分後。しかしゆきのはこの状況をなかなか気にいっていた。この気候自体がとても心地よくて昔からかなり好きなせいもあるがそれを40分も満喫できるここは繁華街なので40分くらいの暇潰しなら余裕で出来る。唯一の不満はテストとレポート提出日が近いためパンパンになった通学鞄と傘が邪魔なくらいだ。(40分もあるなら〜マジョイカマジョウカのアイライナーでも見に行こうかな〜)なんてのんきに歩いていると、ゴロゴロ!!!!そこにいた人はみんな空を見上げた。するとまたピカっ ゴロゴロゴロゴロ!!!!!!空一面に紫色の光が走った。そして辺りは一瞬真っ白になりやがてまた元の風景に戻った。「すっげぇ〜ウチ本間に紫色のカミナリ見たん初めてやねんけど〜」「ぅちもぅちも!まぢやっべ〜」 と近くにいた女子高生が騒いでいた通りそのカミナリは紫色をしていた。おそらくここにいた人のほとんどが初めて見ただろう。ゆきのだって初めて見る。しかしゆきのという少女がいたはずだった場所にもう少女の姿はなかった。ただそこには少女がいたことを証明するピンクの水玉の傘が焦げ焼けて落ちていたのだった。