その少女には昔から不思議なモノが見えた。
よく晴れた日に、何もない空間に目を凝らしてみると、空へと続く透明な階段が見えてくる。
他の誰にも見えない。少女にしか見えない、不思議な階段。
ある時少女は試しに階段を上ってみたことがある。
プラスチックのような素材で出来ていて、意外に丈夫なのがわかった。
しかし地上が透けて見える上、手摺りも何もないために、二階程の高さまで上ったところで足がすくんでしまい、それ以上は上れなかった。
階段は色んな所に現れる。デパートの駐車場や校庭、近くの公園や河川敷。
開けた場所で何気なく目を凝らすと、必ず少女の前に階段はあるのだった。
しかも晴れた日だけだ。雨や曇りの日には絶対に見れない。
不思議な不思議な階段だった。