大晦日の過ごし方については、特に聖人と話していなかった。
あたしは毎年大晦日は家で静かに過ごしていた。
今年の初詣は、年が明けて直ぐに、母と2人で近くの神社までお参りに行ったっけ。
お賽銭を投げて、小学校生活最後のお願い事をしたのを覚えている。
―お母さんとあたしにとって、今年も良い年であります様に――
って。
来年は多分、お母さんが忙しいし、行けないかもなぁ。
ブー‥ブー‥ブー‥‥。
その時、あたしのマナーモードの携帯が鳴り響いた。
《奈央。何してた?》
あは。やっぱ聖人からだ。
《大掃除してた。聖人は?!》
あたしも直ぐに返信。
《俺?!親父の酒の相手。親父はもう正月休みで、家にいるからよ。》
ひぇっっ。
お酒の相手って。
こんな昼間から?!
まさか聖人まで、飲んでるなんて言わないわよね?!
《聖人も飲んでるの?!》
《まさか。んな飲んでねぇよ。アホかっっ!!》
《あは。そうだよね。》
《うちの親父に奈央のコト話したらよ、今度会わせろって言うんだよな。》
聖人のお父さん‥‥が?!
あたしに会いたいって‥‥言ってくれてる?!
聖人のお父さんて、どんな人だろ。
元走り屋だって言ってたわよね。
怖そうな人なのかな。
《うん。じゃあ今度‥‥聖人のお父さんに、あたしを紹介してくださいっっ。》
ドキドキドキドキ‥‥‥。
こんなメールのやり取りだけの筈なのに――
“ドキドキ”が少しずつ、大きくなってくる。
《じゃあ 今日は???俺ん家来ない?!》