一対多において肉弾戦では結局、一対四または三である。迎え撃つ方向は四面であるからだ。蓮は拳を作り、刹那的な動作で不良達を倒していた。不良達、そのリーダーでさえ、まるで有り得ない何かを見ているような顔をしていた。実際、有り得ないのだ、先の動きで明らかに格の違いを見せられ、この男には罠という罠は通用しないというのは少なくとも本能で感じた。が、何故、この多という相手にこの男は瞬時に四人以上の人数を倒せているのか、有り得なかった。四人なら解る。しかし、五人、果ては倍の数を、この男は拳を作るやいなや倒しているのだ。速いではない、本当に刹那なのだ。
約一分、蓮の周りには意識のある人間はいなかった。