母さんには何でも話せるけど、片思いなんて微妙な話はしてもしょうがないって思う。
しかも親友のカナと同じ人を好きになってしまったし。
カナにももちろん内緒で自分の心の中だけのものにしていたから。
すぐに諦めようとも思っていた。
だけど、高校もその好きな先輩と同じになり、カナとも同じで高校二年までカナも私も片思いを続けることとなってしまった。
カナは先輩の卒業式の日、告白したようだが、振られたらしかった。
彼女が最近できて付き合えないと言われたことをカナから聞かされた。
『タイミング悪かったかなぁあたし、もっと早く言えば付き合えたかな?』
などというカナの言葉に
『かもしれないね…』
といいつつ複雑な気持ちだった。
でもその時にはもう、私もやっと次の恋に進めると思っていた。
母さんには、すべてを話していたけど、恋愛のことに関してだけは、一切話さず
『片思いもないなぁ〜良い人いなくて』
とだけ、私は言った。
その年の暮、母さんは急にかえらぬ人となった。
父さんが言うには、もう随分前から体を悪くしていて、だが涼子には言うなと止められていたからということだった。