『父さん私…母さんには何だって話したよ!なのに母さんは!母さんは!なぜ言ってくれなかったの?』
と泣きながら言った。
父さんはただ私を受け止めるだけだった。
もう動くことのない母の前で私は、
『ごめんなさい何も知らなくて…。』
と呟いた。
『母さんは涼子の幸せだけをいつも願っていたんだよ、自分のことよりもね。だから何でも話してくれる幸せそうな涼子の顔を見ていつも安心してたよ。』
『父さん私、母さんに一つ言ってないことがあるの、秘密にしてたことが…』
しばらくの沈黙の後に父さんが口を開いた。
『誰だって言えないことの一つや二つはあるから、いくら大切な人にだって…。母さんだってそう思っているよ。わかってくれているよ、きっと。』
と一つ一つの言葉を選ぶように、そう私に言ってくれた。
―――END―――\r