ここは、魔物が住まう崖淵斜陽館と申します。
今宵の、お客様は『鏡』でございます。
いかなる不思議がおこりますやら、又後でお会いしましょう。
一人の若い女性が、通された、明るい部屋には、洒落た年代物の彫刻が施された、鏡が、窓際に置かれていた。
「素敵な鏡ね、彫刻に何か、文字らしき物が彫ってあるわ。」
確かに記号の様な文字みたいな、しかし読めないのです。
「しかし、私って…」
彼女は、鏡を見るのが好きと言うより、自分に魅せられているのです。
舞ってみたり、振り返ってみたりと、長い時間を鏡と過ごしてしまった。
「もうすぐディナーの時間ね」
「そうね、でも、後少し見ていたいわ。」と鏡の中の彼女が、話かけてきたではないか。
流石に彼女は、硬直したが、何が起こって居るのか、鏡を恐る恐る覗きこんだのだった。
引きつった、蒼い彼女の顔は、鏡の中で笑いかけてくる。
「長く見とれ過ぎよ」と鏡の中の少女が言うと…
彼女は、鏡の中に自分が居る事に気が付いた。
「お願い、助けて、出してぇ!」
「じゃぁねぇ〜」と鏡の中の彼女が部屋を去ると、彼女の姿も消えてしまった。
如何でございましたでしょうか。
次の、お客様は貴方かも知れません。