暗黒剣の国カイストランドのほぼ中央に位置する場所に、首都「ダークパレス」がある。
「ダークパレス」は闇属性の都市の中でも比較的交易が盛んな場所で、闇はもちろんの事、光のソードメーカー達も多数居住していた。
その恩恵もあって、国の財政は安定しており、ここ最近は新たな産業開発に着手するため、多くの技術開発者達が、研究施設で働いていた。
その「ダークパレス」の北にある黒一色で塗り潰された建物が、「ブラックシャトー」と呼ばれる王宮であった。
その城内の一室では、エリウスがマギウスを厳しい顔で睨みつけていた。
「マギウス。それはどういう事じゃ!?」
「申し上げた通りです。策が失敗に終わりそうだ、という事です」
マギウスは涼しい顔をしながら、平然としていた。
「…策が失敗に終わりそうじゃと?ならば、お主はこれからどうする積もりじゃ!?」
エリウスの怒りの声にも動じず、マギウスは落ち着き払って、
「落ち着いて下さい。まだもう一つ策がございます」と、静かに、言った。
「もう一つの策じゃと…?」
「そうです」
マギウスは頷いて、ゆっくりとその策を語り始めた。「…ほう…なるほどのう…。ただ、上手くいくかの?その策は」