「犯人は…、エリザベスです」
「エリザベス?」
「そうです。エリザベスです」
「エリザベスと言うのは、君が持っていた等身大の人形の事だろう。
私が聞いてるのは、犯人についての心当たりだ」
「だから、エリザベスが犯人なんです」
強い口調のルーク。
「人形の格好した犯人の女の子も、エリザベスって言う名前なのか」
「人形の格好をした女の子ではなくて、僕が手放したあの…エリザベス人形がキャサリンを襲ったんです」
ルークの話しに警部は頭を傾げる。
「ルーク、冗談は休み休みに言いたまえ。
作りモノの人形が動いたと言うのかね?」
「そうです。歩いたり、喋ったり…。まるで、生きているかのように、あの人形は動くんです」
呆れる警部。
「バカバカしい」
「僕は真面目に言ってるんです!」
「分かるよ、それは。
だけど、作りモノの人形が動くなんて…常識では考えられん事だ」
「でも実際、前に僕はエリザベスが動くのを見ました。キャサリンなんか、危うく殺されそうになって…放心状態になっているじゃないですか?」
「うーん!」
頭を掻く警部。
「ジミーの件は、何か手掛かりは掴んでますか?」
「ジミー・コールドの殺害の件か。まだだよ」
「そうですか」
「まさか君ィ、あの事件の犯人も…エリザベス人形だと言うのかね?」
「ええ」
「殺害の動機は?」
「僕の勘ですが、自分を棄てようとするジミーに怒りを感じたんだと思います」
ため息付く警部。
「なるほどね。ま、君の話しは警察としては信じるワケにはゆかないが、参考として覚えておこう」
「…」
「君のガールフレンドが早く元気になる事を、祈ってるよ」
「ありがとうございます」
その後、簡単な聴取を済ませるとモグレ警部は帰った。
つづく