「上手くいくかは、やってみないと分かりませんが…」
自信家のマギウスにしては珍しく、言葉を濁して、眉間にしわを寄せた。
「…一体今回の策のどこで失敗したというのだ?」
エリウスはその様子を見て、表情を曇らせた。
「…町の住人の一部が『マジックパレス』まで逃げ込んだというのです」
「!」
その言葉に、エリウスは思わず息を飲んだ。
「報告してきた人物は、『子供が逃げ込んだだけなので、信用はされないだろう』との事でしたが…ね。思慮が浅いというか…」
マギウスは鼻で笑いながら、ぽりぽりと頭を掻いた。「まあ…信用されるかどうかは別として、これで魔法剣側は慎重に行動していく事になるでしょう。そして、この期間が長くなればなる程、真相究明に近づく可能性があります」
「確かに」
エリウスはそう言って、小さく頷いた。
「だから今回の策なのです。素早く行動を行えば、やがて相手側は冷静さを失い、我々の期待通りの行動を起こしてくれるはずです」マギウスは一つ小さく息を吐くと、うっすらと笑みを浮かべた。
「そうか。ならばその策、了承しよう」
エリウスは少し不機嫌そうな表情を浮かべながらも、マギウスの策を容認した。