ネイム(3)

未熟  2008-08-11投稿
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それは、ロッククライミングの容量で登るのだ。
まったくもって面倒な所。
ネイムを使えばいいのだが、そんなことはしない。
力の無駄だ。
ましてや、力の強さや範囲をミスれば宿が崩れちまう。
俺の実力じゃあやりかねない。
崩れた階段だった場所をゆっくりと2階へ上がる。
そして、ようやく部屋についた。
その途端。
ドタドタドタ。
足音。
ちなみに、この宿を借りてる奴なんて、当然ながらいない。
俺達以外に。
「世界〜!」
長い髪をなびかせながら、ものすごい勢いで女が飛び付いてきた。
「炎雷邪魔だ。」
風をだして、左へ受け流す〜。
ドッシャ〜ン!
雷神炎雷(らいじんえんら)は俺の部屋の壁を突き破っていた。
「‥‥‥」
風が強すぎたか。
力加減をまたミスっちまった。
「いったいな〜!」
突き破ったとこから頭をだした炎雷は、涙目で睨んでくる。
俺はそれを無視し、部屋に入り、ベッドに横になった。
ここは建物はわるいが家具はイイ物をつかっている。
当然ベッドもいいものを使っており、寝心地は最高だ。
そこがこの宿の最大の特長だし、そんなことがなければ、こんなとこには泊まらない。
俺は横になりながら、
「山王呼んでくれ。」
炎雷に言った。
山王に壁を直させないと。
あと、話をしなければいけない。
「やだ!」
即答。
「‥‥‥」
拗ねてるのか?
「そうか、ならいい。」
壁は俺でもなおせるし、話はあとでもかまわない。
じゃあ、とりあえず今は寝るか。
横になっている俺の顔の上に、炎雷が顔をだし、
「頭撫でてくれたら、呼んできてあげるよ。」
目をキラキラさせながらそんなことを。
こいつ・・・・・・
「たくっ。仕方ないな。」
頭のほうへ手を持っていき、
ピン!
でこピンをした。
「痛〜い!」
渾身の一撃。炎雷に600のダメージ。
「いつからそんなゲームに変わったのよ!」
あ、また涙目。
というか、まだ独り言はなおらんか。
「なんででこピンするのよ!?」
「人にものを尋ねる態度か、それは。」
「むき〜!」
怒ったようだ。
「世界のバ〜カ! 知らない!」
「そうか、なら出てけ。」
我ながら冷静な切り返し。
「嘘だよ〜。ごめん世界〜。」
「山王を連れてきたら許してやろう。」



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