その後、簡単な聴取を済ませるとモグレ警部は帰った。
ルークは憮然とした表情で警部を見送った。
「ルーク」
シェリーがやって来た。
「キャサリンの様子は、どう?」
「相変わらずよ。ずっと、放心状態」
「そっかァ」
暗い気分のルーク。
「警部さんとのやり取り、聞かせてもらった」
「シェリーはどう思う?」
「エリザベスと言う動く人形の事?」
「警部さん、信用してくれなくて。頭に来るよ」
「あんな超常現象、信じろって言う方が無理かもよ。自分の目で確かめないと、納得しないと思う」
「…」
「安心して、私は信じてるから」
「でもシェリーはまだ、人形が動いているところを見てないだろう?」
「実は昔、似たような現象を目の当たりにした事があるのよ」
「え? あるの?」
「私が3歳の頃だったかな? 隣街の古い人形館に遊びに行った時、誰もいない展示室で1体の人形が踊っているのを見た事があるの」
「ヘェ、怖くなかったかい?」
「別に怖くなかった。
タネも仕掛けもなくて、本当に生きているみたいに動いていたから、不思議だったわねェ。
ね、エリザベスの写真か何か、持ってる?」
「写メなら、あるけど」
「見せてくれる?」
ルークはケータイを取り出すと、データフォルダーを開いた。
「コレだよ」
画面に見入るシェリー。
「似てるわね」
「似てるの?」
「衣装も何もかもソックリ。その人形の名前は知らないけど、姿形はウリふたつよ」
「あの人形、A骨董屋に置かれる前は行方不明になっていたみたいだから多分、シェリーが見た人形はエリザベスだよ」
「もしそうだったら、もう一度…会ってみたいわね」
「会ってもイイけどォ、凄く危険だよ」
「キャサリンを殺そうとしたから?」
「それだけじゃない。あの人形は…」
つづく