「なるほど…あいつか…」フードを被った人物がロイやセイル達を攻撃したとの話しを思い出し、ライルは怒りの混じった唸り声を上げた。
ライルは周囲を素早く目で見渡し、
周りは林に囲まれて、民家は無し…か。思いっきりいけそうだな―\r
そう思いながら、一つ小さく頷くと、剣の柄に手を掛けたままフードの人物に近づいて行った。
「どうも、おはようございます。いやあ、最近、暑くなってきましたね」
ライルはそう声を掛けながら、注意深くフードの人物を見つめた。
「…」
「その格好、暑くありませんか?何なら、私がとってさしあげましょうか?」
「…!」
ライルの言葉に、フードの人物はぴくりと肩を揺すった。
瞬間、ライルが剣を抜くのと同時に、フードの人物も剣を抜いた。
剣と剣ぶつかり合う音が、静寂に包まれていた空気を揺るがした。
「待ち伏せとは…用意がいいですね」
「…」
フードの人物は風になびく木の葉のように、ライルの繰り出す剣を優雅にかわしていった。
想像以上の使い手だな…―ライルは剣を繰り出すのを中断すると、切っ先から小さな魔力の塊を放出して、フードの人物に向けて放った。
フードの人物は剣でそれを簡単に弾き飛ばしてしまった。