オカンズ?‐?

カー子  2008-08-14投稿
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総太は息子に鋭く言い返された反動でガクリとうなだれた。
空は、なんだかアホらしくなって、そのままにしていた箸をまた口に運び始めた。

結構ヘビィな内容やのに、アホなオトンのせいで雰囲気ぶちこわしやわ。
今年高三で、進路やら卒業やらでただでさえ忙しいのに、なに考えてんねん・・・。

空は、苛立って、よく噛まずにご飯を呑み込んだ。

「ほんまに、お前にとって忙しい時期にこんな話したんは悪かったと思てる。でも、この話は、十八になったお前にどうしても言いたかったんや。」

さっきまでの落ち込み様はどこへやら、素早く立ち直った総太は、まるで空の心を覗いたかの様にそう呟いた。
空は、尚、ペースを崩さずにご飯を口に運ぶ作業を繰り返した。

・・・なんとなく分かっていた。
十八という数字は、自分の両親にとって、特別な数字なのだ。
だから、誕生日の朝っぱらから、急にこんな話を持ち込んだのだと。

「彼女に、会ってもらえへんかな・・・?」

この日の朝は、特別、静かだった様に思う。

いつの間にか、洗濯機は仕事を終えたらしい。
長年使い続けているせいか、ガタガタうるさい音をたてるが、今はもう聞こえない。
やかましく鳴っているであろうテレビの音も耳に入らない。
ただ、頬を優しくなでる風を感じて、春やなぁ、とのんびり思った。

ようやく箸を口に運ぶ手をとめて、空は顔を上げた。
先程とはうって変わって、真剣な顔で自分を見つめる総太が座る横の空いた席には、一つの写真が飾られていた。
空の母、寧の写真。
十年前に死んだ、世界に一人だけの自分の母親。
寧の笑顔は、昔と変わらないままそこにあった。

ある春の日、十八になった俺に、十八で父親になった俺のオトンが、久しぶりに真剣に頼み事をした瞬間やった。
この一言が、これからの俺が大きな渦に呑み込まれるきっかけになるんやけど。

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